福島第一原発の危機管理

@地震と津波の規模が
  想定外であったでは済まされない

東北関東震災から2週間近くたちました。
宮城県仙台、福島県相馬、双葉、いわきは知人や友人が多く、この1週間直接電話のやり取りでやっと何人かの安否を確認することができました。
福島原発のトラブルでは、3Km、10Km、20Kmと避難距離が拡大し、住民は右往左往し、避難場所をたらいまわしされながら、遠くは新潟県までいってやっと落ち着けたという人もあったようです。

中学時代の同級生で双葉町の議員をしている友人とも連絡が取れました。彼によると東京電力、町、県、国と一体となった避難訓練は何回かやってきたが、この度は何の役にも立たなかったとのことです。

最初の避難では、東京電力や県、町の誘導が一切なく、地区の自治会が公民館等に住民を避難させていたところでは、自治会単位で自家用車に便乗し、町指定の避難所に団体で向かったが、その後、避難指令地域が拡大して行ったために、多くは誘導者なしで個人個人の判断とタイミングで避難がなされたようです。
町民の多くは第1号機の水素爆発で、いよいよ原発事故の深刻さを覚悟し、とりあえず車に乗ったが、道路は遅くまで渋滞が続いたとのことでした。双葉町には立派な道路が町の隅々まで張り巡らされています。かつて、友人に無駄遣いの象徴ではないかと質したところ、原発の不慮災害時に備えて法律で決められた道路とのことでした。今回のこの道路に車が殺到したわけです。

福島第一原発がある海岸線は、もともと20メートル位高い岸壁が続いていたという記憶ですが、TVで見ると海岸線に近く、これでは津波をもろに受けたというのもわかります。
福島原発のトラブルを深刻にした最大の理由は、津波によって冷却システムをささえる外部電源、非常用ディーゼルが使用不可になったことですが、津波の高さは5.7mの想定に対して実際は14mであった。ちなみに、女川原発は9.1mの想定に対して実際は14.8mで、かつ直接津波の実被害はゼロであった。
地震と津波の規模が想定外であったというだけでは済まされない問題があるように思います。この辺の視点から福島原発の危機管理の問題について考えていきたいと思います。


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