日本版6シグマ
BSTプログラムの体系化の背景

「日本版6シグマ」の体系化を
  目指すことになった経緯

 私は大阪に本社のある化学系企業に就職し、人事教育部門への配属を契機に、京都に拠点のあったビジネス研究所主催の経営研究会に参加し、大学で専攻した教育学、心理学に加えて、財務、流通、統計、創造工学の実践的理論を学びました。さらに営業、開発、海外工場管理等の経験を経て、1983年、東京経営研究会としての「ベルヒュード研究会」を主宰することになりました。ベルヒュードは「Beautiful Human Dynamism in Business」 から命名したもので、ダイナミックに生き生きと仕事ができる企業組織の研究を目指しました。その後、日本経済は高度成長路線の終焉、デフレ不況、IT革命の到来を経て、グローバルなニューエコノミー時代に入り、これまでに確立された「戦略立案や意志決定の仕方、組織の活性化や人材育成の仕方」はことごとく無力化してしまいました。研究会ではこうした時代認識のもと独自の「組織モデル論」と「問題解決技法」を両輪としたグローバルに通用する「経営効率改善プログラム」の論理的、技術的体系化にも取り組みました。

こうした中で、1998年ジャック・ウエルチの「GE版6シグマ」との出会いがありました。「6シグマ」は経営トップの強いリーダーシップのもと展開する全社レベルの重点施策に組織で取り組む問題解決活動です。ジャック・ウエルチの「6シグマは事業運営の効率改善、生産性向上、コスト削減に関して、過去4半世紀における最大の経営革新の一つであり、これに勝るものはない。企業の競争力を高めるために非常にパワフルで、最大の効用は優秀なリーダーを育成する力にある」という言葉に大いに触発されました。同時に、「GE版6シグマ」とベルヒュード研究会の活動のねらいと方法論との間に本質的に共通したものがあることを発見し、日本の企業に相応しい「6シグマ」の展開が必要であると思い立ち、即座にこれまでの研究会の活動をベースに「日本版6シグマ」の体系化に挑戦することにしました。その後、「日本版6シグマツール」として「People Outプログラム:人材育成と組織活性化」と「Work Outプログラム:業務課題の解決」からなる「BSTプログラム」(Belhyud Solution Technology Program)を体系化するとともに、ベルヒュード国際経営研究所を立上げ、「日本版6シグマ」の指導、支援活動に取り組むことになりました。さらに実践体験を踏まえ、「日本版6シグマ」の指導者を育成する目的でベルヒュードアカデミーを主宰し、塾形式の「BSTセミナー」もスタートさせました

「日本版6シグマ」を
  指導、支援する上での3つの心得

ジャック・ウエルチは「6シグマは世界中の企業で採用されるようになってきたが、これを理解しないでいる贅沢は許されない。ましてや実践しないなんてとんでもない。こんなにいいものなのにどうしてみんなが不安がったり、混乱したりするのか。それは科学者、統計学者、コンサルタントといった専門家がMITの教授しか喜ばないような複雑なパワーポイントを使ってみんなをパニックに陥らせているからだ」と語っています。日本にあっても「6シグマ」を成功させるためのノウハウが紹介され、多くの企業で取り組みが行われています。しかし、手法としての曖昧さや複雑さ、難解さに加えて、保守的な組織風土や社員からの抵抗も大きく、頓挫している例も多いように思われます。

 私は「日本版6シグマ」の指導、支援にあっては、次の3つの心得を重視しています。第1点は経営トップが自らの問題意識と責任で「経営課題・目標」を明示していること。第2点は論理的で簡便で効率的な「問題解決手法」があること。第3点は問題解決のプロセスをマネジメントする「リーダー」がいること。「日本版6シグマ」は「BSTプログラム」という問題解決手法を使って、経営課題・目標を組織の力で解決し、実現していくことが基本になっています。問題解決への取り組みのプロセスをステップ化し、ボトルネックになっている工程と課題を絞り込み、最適解決策を一つずつ実行し、成果を確認しながら確実に前に進んでいくやり方をします。

「日本版6シグマ」で重視する
   日本語力に裏づけされたリーダーシップ力

 「日本版6シグマ」では、経営課題・目標を確実に、スピーディに、低コストで解決し、実現することはもちろんです。同時に核となるリーダーを平行して育成します。これら2つが可能であるためには、実践を通して「ノウハウ」を創造し続け、武器としての「BSTプログラム」を絶え間なくバージョンアップしていくことが大切であると考えています。

 ジャック・ウエルチは、6シグマのリーダーシップを「仕事を成し遂げるEnergy」、「組織を元気づけるEnergize」、「ひるまず厳しく決断するEdge」、「実行し、成果を出すExecute」の「4つのE」で紹介しています。「日本版6シグマ」では、これを「ボトルネック工程と課題を絞り込み、最適解決策を設定し、確実に実行し切ることによって、論理的に着実に成果を出すリーダーシップ力」と言い換えています。問題解決の場面では、リーダーは問題を内からだけでなく外から客観視することで、今まで気が付かなかったことに目を開き、新しい課題と解決法を見出し、組織の一人ひとりに行動を起こさせ、成果を出させる能力が問われます。
  この意味で「何がどうなっている、従って何のために、何をどうするか」について、的確に簡潔に表現できる「要約力」、「構文力」としての「日本語力」に裏づけされたリーダーシップ力が不可欠です。「考える、話す、書くことと行動することは一体であり、問題解決の基本である」と考えるからです。

 しかし現実には、日本企業の日本人社員の「日本語力」の低さからくる「実行力の弱さ」が気になります。「日本版6シグマ」が求めるリーダーシップにあっては、問題解決の場面で「自分の考えを明瞭に、はっきり表現する力」という、本来「句読点をつけて話す、書く」という意味である「Articulacy」という概念を重視している理由が、ここにあるわけです。


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