要約
中国の台頭やIT技術の一般化と共に、これまで世界に誇ってきた日本企業のものづくり力の衰退が問題にされるようになって久しい。
「ものづくり」において人的コストの高い日本企業が今後世界的に競争力を発揮できるとすれば、それは中国などの追随を許さない、生産技術が高度かつ複雑で安定量産のための品質管理が未確立な難しい分野に限られてくるであろう。
しかし、そのためには従来のQC活動を越えた製造部門のみならず関連組織を上げての創造的なものづくり活動が不可欠である。
「日本版6シグマ」は、企業におけるあらゆる経営活動の品質向上を目的に「組織風土改革のための組織モデル論」と「業務プロセス改革のための問題解決技法」で構成されたソリューションテクノロジーである。
そこで、本論ではそうした分野の1つと考えられる「大型精密メカトロニクス組立製品」の量産工場が、「日本版6シグマ手法」を導入し、高品質製品を安定的に創造していくために取り組んだ品質管理活動の事例を紹介することにしたい。あわせて、品質管理手法としての「日本版6シグマ」とこれまでの「TQCとの違いも浮き彫りにしたい。
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