読書日記
   
日本能率協会 「人材教育」


 

 Webコンピューティング入門「Web技術のすべてがわかる」(林誠編集 日本能率協会マネジントセンター)を読んでみました。 
  研究会としても、「ITを経営の中に導入するねらいや方法について、人事や教育、管理部門のスタッフが経営とIT技術者の橋渡しの役割が果たす必要があり、そのために参考になる出版を」と準備していますが、この点に近い趣旨を感ずることができる著書です。
  たまたま、日本能率協会の月刊誌「人材教育」の編集長根本さんから書評執筆の依頼がありましたので、この本を取り上げることにしました。 

 最近、日本経済再生のためには、企業を中心にIT革命への対応以外に道はないという意見が一般的である。インターネット等の情技術を上手く取り入れた企業は、飛躍的な功を収めるが、そうでない企業は競争から脱落してしまうというわけである。 ところで、「経営にITを取り入れる」とうことは、人事や教育部門の視点からみれ、一人一人が主体的に情報を収集、発信し、多様な情報を共有しあうことによって、価値の高いナレッジ(知力)生み出す強い組をつくることであり、そのための情報システムを構築することである。この意味で、IT導入にあたっては、人間や組織という経営資源の効率化を業務とする部門こそが、主導的な役割を果たしていくべき立場にある。

 本書は、インターネットブームに火をつけたWeb(WWW:World Wide Web)技術の解説書である。Webコンピューティングこそが、情報システム構築に欠かせない技術であるとして、企業が最新のWeb技術をどのように情報システムに適用するか、Web技術によってどのような競争力あるビジネスモデルやワークスタイルをめざすべきかという2つの側面からアプローチしている。
 昨今、書店ではITについての概論書やマニュアル書が数多く並んでいる。しかし、本書のようにWeb技術を中心に、ビジネスからシステム構築までの基本的なネットワーク技術やアプリケーション構築技術、Web時代の経営革新の方向と実践まで網羅的に解説した本はほとんどない。難解な技術用語が多い嫌いはあるが、最初は読み飛し、読み進みながら、都度戻って確認すればよい。
  IT時代の経営革新に向けて、「どのようなデジタルインフラを導入すべきか、それは現在の業務をどのように変革するためなのか、そのためには、組織における個人のワークスタイルがどのように変わらなければならないのか」等について、経営とIT専門家と間の橋渡しの役割を果たして行く上で、大変有効で数少ない、だからこそ是非読み込んで欲しい著書である。

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