変革期のナレジマネジメント
 −情報共有化による問題解決の方法

株)アーバンプロデュース
人事マネジメント4月号

書評
 これからの組織のあり方を考えた時、前提となるのがネット社会への対応だ。ピラミッド型からフラットな組織への転換、それと平行して進む「情報の共
有化」がキーワードになるだろう。
 
 しかしながら、フラットな組織やITの環境をいかに整えたところで、意図した成果が達成されるとは限らない。すなわち、フラットでボーダレスな社会になればなるほど、そこに飛び交う情報は雑多なものになるからだ。重要なのは、その雑多な情報の中に隠れている真実を発見する力である。
 
 これからの組織マネジメントにおいては、情報を偏りなく集め、そこから価値ある問題解決案を導き出せることがポイントになる。
 何をどう集め、何をどう発見し、どのような解決策を打ち出していくのか。メンバーの暗黙知を組織の形式知に明確化するいわゆるナレジマネジメントを手がかりに「ST(ソリューションテクノロジー)」の展開を試みたのが本稿の目玉である。

 雑多な事実から価値ある真実を見つけるに思考が正しい方法で飛躍する必要がある。理論とテクニックを備えたナレジマネージャーの育成が急がれる時と思われれる。 (編集部)


三菱キャラクター 新野さんから

 インターネットの実用化は、「Start Now」
 先般は貴重な原稿文を御恵送頂きありがとうございました。現代の企業で実践さ れている経営戦略策定手法の成果とIT技術の最先端の適用方法とが融合されて、先生の分析された現下の構造的な不況局面の打開に対しての処方箋が示されています。
 余りにも個々の言葉の概念が高度に抽象化されている結果、読み解くのには並の努力では難しく、感想文の送付が遂々遅くなりましたことをお詫び致します。 
 
 読み解いて、実践に移す体制を整えた企業が一人勝ちできることは間違いないと思います。このことで思い出しますのは、3月始めのIBM総合フェアでの基調演説の一齣です。
 今年のフェアは昨年までeBUSINESSのコンセプトのお披露目と個別ERPパッケージ、個別ソフトの売り込みが主体だったのが、インターネットの実用化を主軸に据えてTOTAL SOLUTIONの提供、売り込みに変わってきた事でした。特に中小中堅企業にハード,OS,ソフトを一括してサバー一台クライアント二十台で15百万円といった売り方です。Start Nowという名前でそのものずばりで売り出しています。

 その中小向けの特別会場で、担当事業部長が、アメリカのドットコムの成功例や日本での立ち後れた企業の苦衷を実例として挙げながら、ここ5年での潜在成長率を絵解きしていました。「入れるのは今ですよ、遅れるとマーケットを失しないますよ。」と強烈なメッセージを送っていました。 
 そのSOLUTIONには、IT技術に加えて業務知識とプロジェクト遂行能力とが必要とされ、現在BI( Business Intelligence)とかMI(Market Intelligence)とかの概念で統括されたアプローチになっています。一方で知的財産の方面からはビジネスモデル特許での囲い込みが始まっています。


改革のリードタイムは、これまでの半分以下に
 
 米国でのeBUSINESSを活用しての競争は一段と熾烈さを増して来ています。企業活動のより広汎な領域をカバーし、より早く改革を進め、顧客に肉薄して行くCS運動が展開されています。一人勝ち、二位・三位はないという激烈な競争時代だということです。
 
 経営資源を分散している余地はなくなり、SWOTの最適解に向かって実行あるのみという姿です。我がCAT社では、数年前からVELOCITYといって改革の加速化を早めていましたが、これでも同業他社にキャッチアップされるとして、大規模の情報化投資を伴って改革のリードタイムを,、これまでの半分以下にしようとしています。その結果、今迄市場とならなかったエリアまで市場となり、企業成長のフロンティアが広がって来ることになり ます。

人間系解決策が決め手となる
 
 情報の共有化はインフラの整備・教育に投資を行うだけでなく、情報伝達・活用の障害となる中堅管理職の行動是正運動(具体的には部下による上司の管理能力の査定)という人間系の改革を伴うのも当然です。
 日本社会の旧来の秩序の破壊無くしてこのメガコンペティションに勝ち残れはしないでしょう。果たして、このビジネス社会の論理が優越して、社会変革を達成出来るのか否か。出来なけれ新世紀の新植民地となるだけでしょうから、何れ自らを変革して行かねばならないでしょう。
 只、余りにも多要素の与件と余りにも多様な達成目標とが「社会」にはあり、企業における「利益」一本に目的を収斂出来ない社会とのコンフリクトは益々激化して不安定な社会現象が激発するに違いありません。安全だけでなく安心が大き なビジネス分野になってくるでしょう。組織・人事の人間系解決策が会社でも社会でも決め手となるのではないでしょうか。


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